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【この人にズームアップ】NPO法人 八剣山エコケータリング ビアンカ・フュルストさん
みんなのしみサポ55号(2020年年2月発行)より
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更新日:
2021年05月18日
しみサポ編集ボランティアスタッフが市民活動を実践している“人”に焦点を当てて取材するコーナーです。
環境問題は堅苦しくて難しいことと思いがちですが、環境先進国ドイツ仕込みの「楽しく・美味しく・心地よく」をモットーに、エコな暮らし方を提唱するドイツ出身の女性がいます。
NPO法人八剣山エコケータリング代表のビアンカ・フュルストさんに札幌在住24年間のエコライフとまちづくりについてお聞きしました。
はじめに日本との関わりと、札幌に住むことになった理由を教えてください。
高校卒業後、日独スポーツ交流のメンバーに選ばれて、九州に4週間ホームステイしたのが始まりです。その後ドイツの大学で日本学を学び、熊本大学に留学しました。札幌には、ドイツの日本大使館で、「日本で働きませんか」という告知を見て応募し、札幌国際プラザの国際交流員として来ました。
そもそも環境問題に関心を持つようになったのはなぜですか。
ドイツでは1970年代から公共交通を優先するまちづくりや、ゴミを減らすリサイクルのシステム作りに、市民が熱心に取り組んでいた時代で、そのような社会で私は育ちました。
また、高校を卒業するころ、チェルノブイリの原発事故が発生し、ドイツにも放射性物質が降ったことで社会問題になりました。このままでは大変なことになると思い、ドイツの大学と大学院、熊本大学で環境政治学を学びました。
札幌で環境保護活動をするようになったのはなぜですか。
札幌国際プラザの国際交流テーマとして、私がエネルギーとゴミ問題を提起したことから、環境に携わる人とのネットワークが拡がり、札幌市の環境保全アドバイザーを務めることになりました。また、縁あって結婚した夫が八剣山で果樹園を営んでいたことも理 由の一つです。八剣山果樹園では自分たちが使う電気は自分たちで作るため、最新のソーラーシステムを設置して太陽熱を利用したソーラーコレクターでお湯を沸かしたり、ソーラークッカーで料理を体験できるようにしました。
NPO法人を設立されたのはなぜですか。
これまでに環境やまちづくりに関するいろいろな市民活動をしてきました。しかし、うまくいくときもあれば途中で潰れることもあり、しっかりした組織が必要になっていました。そこで2011年にNPO法人を設立し、果樹園で環境をテーマにした体験学習や、料理のケータリングで収入を得られるようにして、無理なく持続可能な活動ができるようにしました。
八剣山エコケータリングの活動と特徴を教えてください。
一言でいうとSDGsをテーマに活動しているNPO法人です。要素としてはエネルギー・エコクラフト・サバイバル・料理・食育・農業・健康など、複数の特徴を組み合わせた学習が八剣山果樹園で体験できます。お客様は、教育関係のエコ学習、企業の研修などなど。最近はインバウンド需要もあり、ご要望に合わせたプログラムを企画・提案していますので、お気軽にご相談ください。
今後の計画やビジョンをお聞かせください。
これからは太陽光・太陽熱を利用したソーラーシステムを普及させて、眠っている北海道の自然エネルギーを宝に変えたいと思っています。また、八剣山の魅力づくりや、働ける場所づくりで、地域の活性化にも繋げていきたいと思っています。
あとがき
環境に良いことは、楽しみながら賢く実践するのがビアンカさん流のエコライフ術。例えば、札幌のミュンヘンクリスマス市の「リターナブル食器」もビアンカさんの提案の一つで、札幌の魅力づくりにも役立っています。
NPO法人 八剣山エコケータリング代表
ビアンカ・フュルストさん
ドイツ出身。ベルリン自由大学・大学院卒。熊本大学留学。
1996年に財団法人札幌国際プラザの国際交流員として来札。
2011年にNPO法人八剣山エコケータリングを設立し代表になる。
また、札幌静修高校の非常勤講師、酪農学園大学の非常勤講師、札幌市環境保全アドバイザー、北海道地域環境学習講座トレーナーなど、多方面で活躍。
札幌市在住、3人の子供の母。