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【今日からできる国際支援】「飛んでけ!マスク」
みんなのしみサポ56号(2020年8月発行)より
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更新日:
2021年10月8日
新型コロナウイルス感染拡大防止のため身近な存在となったマスク。自分で手作りしたという方も多いのではないでしょうか。
2020年7月~8月にオリジナルの手作りマスクを募集して途上国へ寄付する「飛んでけ!マスク」というユニークな取り組みを行った団体があります。『みんなのしみサポ』56号(2020年8月発行)ではその取り組みを行った『「飛んでけ!車いす」の会』・吉田三千代さんにお話を聞きました。
―今回、この「飛んでけ!マスク」の企画をしようと思ったきっかけを教えてください。
先日車いすを船便で届けたとき、現地の人は誰もマスクをつけていなかったんです。
必要な物資を聞いてみたところ、食べ物や生活必需品ばかりでした。現地の人たちも今回のコロナ禍でマスクが必要なことは分かってはいるけれど、日々の生活が第一なんですよね。ちょうどその頃、日本ではマスクを手作りする人が増えてきていたので、車いすと一緒にマスクを届けられたらいいなと思ったのがきっかけです。普通のマスクを集めて送るだけだと、マスクを送るだけの仲介団体になってしまうので、ちょっとしたメッセージを添えて温かさを伝えられたらと思い、あえて手作りという形で募集することにしました。
―国際支援というと敷居が高いように感じますが、手作りマスクだと気軽に参加できてとても良いなと思いました。どんな人たちに参加してほしいですか?
実施期間は夏休みを想定しているので、中学生や高校生に参加してほしいですね。今回マスクと一緒に、現地の人へ向けたメッセージを英語で書いてほしいと思っているんです。今は小学校でも英語の授業があるので、お母さんがマスクを作って、お子さんはメッセージを書くというのもいいですね。英語でメッセージを、というと難しく感じるかもしれないけど「Thank You」など簡単な一言でいいんです。
―参加された方から、どんなマスクが届くと嬉しいですか?
私たちが届けようとしている国はカンボジアやタイ・フィリピンなど暑いところなので、夏用の涼しいマスクだといいですね。どんな国に届くんだろう、どんなマスクだったら貰った人は嬉しいのかななど、イメージを膨らませながら作ってくれると嬉しいなと思っています。
―どんなマスクを作るか考えるのも楽しそうですね!企画に参加してくれた人には、今 後『「飛んでけ!車いす」の会』の活動にどのように関わってほしいですか?
イベントのスタッフや事務所の作業、車いすの整備に参加してほしいと思っています。今回のマスク寄付が、国際支援に興味を持つきっかけになってくれれば嬉しいですね。
―『「飛んでけ!車いす」の会』は、日頃どのような活動をしていますか。
寄贈いただいた車いすを整備して、途上国で必要とされる方に届ける活動がメインで す。届けた車いすを長く使ってもらえるように、海外へ整備士を派遣して現地の人たちに整備・修理方法を教えたりもしています。
―団体を立ち上げようと思ったきっかけはなんですか?
1997年にバングラデシュのスラムで障がい児・者と出会ったのですが、車いすを持っている人はほとんどいなかったんです。帰国してから養護学校に勤めている友人にこの話をすると、日本では車いすが余っていることを知って、彼らに届けたいと思ったんです。車いすがあれば街に行くことができるし学校にも行ける、もっと色んな世界を見せてあげたいと思いました。
―これまでに「飛んで」いった車いすは3000台を超えているんですね。
私たちは車いすをただ整備して送るのではなく、「あなたの車いす」ということにこだわっているんです。身体のサイズや症状を聞き、受け取る人に合わせてベルトを取りつけたりサイズを調整したりと細かな整備をしています。これまで届けてきた車いす一台一台にもストーリーがあります。これからもその根っこは変えずに、できる限りの数の車いすを届けていきたいですね。
NPO法人「飛んでけ!車いす」の会 代表
吉田三千代
1998年、前代表である柳生一自氏とともに会を設立。現在まで、理事兼事務局長として、様々な理由で乗られなくなった車いすを整備し、海外旅行者に手荷物として運んでもらい、発展途上国の障がい児・障がい者など車いすを必要とする人の元へ届ける活動を継続。
10年目を迎えた2008年には『手から手へ。飛んでけ!車いす 1600台の笑顔』を出版。
2011年からはインドネシア、フィリピン、タイの3カ国の障がい児・障がい者や高齢者への支援を行うネイバーズの代表としても活動。
【HP】https://tondeke.org/