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【Youth+協働者インタビュー企画①】着物stylistあべりえこさん
私と、若者と、 2021/03/03より
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更新日:
2021年03月16日
Youth+(札幌市若者支援施設)の活動に協力してくださっているオトナの方へのインタビュー企画がとうとう始動!第1回目は、Youth+アカシアにて開催されている『着物部』で講師をしてくださっている着物stylistあべりえこさんにお話を伺いました。
■出会いはたまたま、誘われて
Youth+と関わるようになったきっかけを教えてください!
―私が呉服屋さんで着付け教室の講師をやっていた時に、児童会館でお仕事されている方が習いにきてくださったんですよ。その方がYouth+のスタッフさんとお知り合いで。その方が、スタッフさんから「着物・浴衣のイベントをやりたい」という相談を受けて、私の方に「先生、どうですか?」って声をかけていただいたんです。
そうしたら、最初から先生に直接お声がけしたんではなかったんですね!
最初お声がかかったときはどうでしたか?
―なんか「楽しそうだな!」って思ったの。若い世代からもっと着物に慣れ親しんでほしいなっていう気持ちはあったので。着物に触れて、着物がすごく特別なモノじゃないっていうのを知ってもらいたいな、と。それができたら、ちょっと楽しいなって。
では、りえこ先生の目指す想いとマッチして、協力してくださったんですね!
―そうですね。協力をという感じで。
実際に若者と関わってみていかがですか?
―意外と、若い人が着物着たがっているんだなっていうのはすごく実感しましたね!
それはどういう様子をみてそう感じられましたか?
―実際に着てみたときの喜んだ様子だとか。着物に手が出ないと思いつつも、着てみたいと思っている子に出会ったり、和裁師になりたいっていう子がいたり。コスプレで着物楽しんでるという子もいて、そういうのを見ていると「すごくいい!」と感じますね。
■娘が教えてくれたこと
最初のYouth+のイメージって、どんなでした感じでした?
―うーん…。最初はちょっとよく分からないっていう感じで。今も人に聞かれたときになんて答えているかって言ったら、「児童館の大人版」って言ってるんですけど笑
たしかにそれが分かりやすいですね笑
―アハハ!でも、今の時代にはすごく必要なところなんじゃないかなっていう感覚はあります。
そうなんですね!どういうところが必要だなって感じられますか?
―実は、私の娘がすごい不良だったの。高校も行かなくって、中学校も半分しか行ってなくて。うちの子は、引きこもるんじゃなくて、外にワーッと発散しに行くタイプだったんだけど、普通に学校には通える子じゃなかったから。他の人と外れた娘をみて、学んだことも多かった。「今の時代って、こうやって学校に馴染めない子ってたくさんいるんだ」っていうのが分かって。そのとき、自分自身もいろんな人に助けてもらったので、そういう子たちの力になれたら、いいなっていうのはちょっと思っていました。
Youth+には、元気な子もいれば、そういう子もいると聞いていて。私も関わる中で、着物で笑顔にすることができるなら、というのが楽しみっていうか、やりがいっていうか。ちょっと恩返し感も持ちながら、やらせてもらっていますね。
そんな思いを持ちながら関わってくださっていたんですね。
―そうですね…。やっぱり、娘が非行の時にすごく感じたのが、親でもなく先生でもなく、ちがう立場の大人と触れるってことが割と大事なんだなって。そこに逃げ道を作ってあげるというか。それが、ここの役割なのかなって思います。
確かに第三者っていうのはすごく大事にしています。
―だから、ここのスタッフさん達の雰囲気もすごくいいなって思いますよ。
ありがとうございます照
―それに馴染めない方がよっぽど人間らしいとおもいますよ。うちの娘、すっごい生きる力があるし。
■”認められている”という感覚を持てるようにすること
娘さんはいまどうされているんですか?
―いまは、経理の仕事をしてます。
「ヘアメイクの仕事やりたい」って言って、中卒でも行ける通信の美容学校に通ったんです。それも自分でお金出して行きました。そこでちゃんと美容師免許とったんですよ。今は全然関係ない仕事はしているけど笑
自分が必要だと思ったら、ちゃんと勉強して、資格を取って。今も、簿記や経理の資格をとって働いてます。
自分にとって必要なモノを選んでっていう感じで。
―そう。稼ぎますよぉ。で、母は怒られ。金遣いが荒いと笑ウフフ
すごい…!どうやってその力は培われたんでしょうか…?
―えーー!まぁ、元々の素質もあったんだろうけどねぇ!
私は非行少女の娘をもった中でも、うまく手放したねって言われる。娘をいつまでも追いかけて「ほら学校行きなさい!」とか「高校ぐらいいっとかないと!」とかいって私が一生懸命になってたら、きっと今のあの子はない。今の私もなんだけど。
とにかく「この子は私の娘だから大丈夫!」ってなんの根拠もない自信っていうか、そういうふうにただ信じてあげただけなんですけどね。
ただ信じるというのは、すごく勇気のいる選択だなって感じました…!
―そうですね。でも、中学校卒業した時に娘が「自分は親にちゃんと自分の存在を認められてると感じている」って言っていたから。私、本人にとって、それはすごい自信になるだろうなって思ってね。
だれか一人でも自分のことを認めてくれていると、自分で思えることってすごく大事だなって思います。
―この子、こんな小さい時から自分が認められている感覚をもってるってすごいなって。伸びるぞ~!て思いました。身長はちっちゃいんですけどね笑
そういう風な感覚を持てる若者っていうのが増えていけばいいですよね。自分が認めてもらえていると、自分で思える感覚は強みですね。
―つよみですよぉ!!もう、ほんとに。すばらしい
■若者へー自由に、型にハマらず、自分と対話してー
りえこ先生からみて、Youth+で出会う若者ってどういう風に映っているんですか?
―ここにくる子たちって、自分を持っていて、しっかり先のことも考えているなって思います。ちゃんと大人と話ができるし、それってすごく重要だと思っています。
馴染んでくると、いろんな話をしてきてくれて嬉しいし、こういう子たちが社会に出ていった時に、どういう社会になるかがすごく楽しみ!
そうですね。特に、ここにきている子たちって表現が自由といいますか…
―そう!でも、それが人の生まれてきた意味ってことじゃないかなって思いますね。型にはまってないのがすごくいい!
コロナがきっかけという訳じゃないけど、時代がすごく変わってるから。この子たちにはすごく生きやすい時代になるなって思います。占い師みたいなこというけどアハハ!
それはどういうところで感じますか?
―これまたスピリチュアルみたいな話になるんだけど笑。これまでは土の時代(占星術における時代区分のひとつ。伝統と権威と上下関係を重んじ、形あるものに価値をおく時代と言われる)で、12月から風の時代(知識や情報と対等な関係性を重んじ、形ないものに価値を置く時代)になるっていう話があるじゃないですか?その風の時代っていうのは、これまでの型にハマらない・ハマれない子たちみたいな子にはすごくマッチしてるって思う。これまでの固定概念というか、ちゃんと学校行って、受験してっていう発想にとらわれてたら、もう絶対生き残れないと思う。
実際、そういう道を歩んだとしても、確実とは言い切れないですものね。
―だから、いま自分が持ってるものにしがみついてなんかしよう、って思ってる人は淘汰されていくと思います。たとえばコロナで今はこうなっちゃってるから、自分はコレもやってみようっていうふうに、自分で考えて、違う道を選んだり、違うことに手を出したりできる人が、伸びると思います。
時代に合わせて動く臨機応変さですかね。
―風に乗って、ゆらゆらと、状況をみながら動けるっていうのは本当に大事だと思ういますね。
りえこ先生からみて10~20代の若者が今後の社会に飛びなす中で、期待してること、ワクワクしてることってありますか?
―もう自由にやったらいいですよね!本当に自分の思った通りに。人に何言われてもいいし、親にどうとかそんなこともうどうでもいいから。結局最後は自分じゃないですか。Youth+には、自分との対話ができる子っていうのは多いんじゃないかって思うので。自分の思ったまま進んでいくっていうのが、すごくいいと思います。
自分がどんなことが好きだとか”コレ”っていうものを見つけて、歩んでほしいということですね。では、そういう思いをうけて、Youth+に期待してることはありますか?
―結構学生でもYouth+を知らない子っているじゃないですか?だからもっと広く知ってもらったらいいのにって思いますね。
そうですね…。いかんせん、札幌の若者の一部しか知らないので…。もっともっと知ってほしいというのはあります…。
―Youth+を知ることで、もっと気持ちが助けられる人がでるのかなって思います。一人で抱えて悶々としている子が、Youth+に来て、いろんな人と関わるようになっていければ、変わってくんじゃないかな、と思います。
■広がる夢
今後、若者とこういうことをやってみたいなっていうことはありますか?
―振袖や袴を着てみる機会は作ってみたいですね。
私は振袖専門のお店で仕事していたことがあるんですけど、振袖を借りるって20万30万かけてもらうのが当たり前になってるじゃないですか。でも、Youth+で若者と関わる中で「わたしって恵まれた子しかみてきてなかったんだな」というか、皆が皆、お金を準備して着ることができるわけではないんだな、と。
一方で、去年持ってきた振袖を、若者がとても嬉しそうな顔をしていて着ている姿をみて。こんなに笑顔になってくれるし、きっと成人式の時に振袖を着る喜びを、他の子よりもずっと強く感じているんだろうなって思って。だから、振袖体験会とか、卒業式の袴の体験とか、そういうことをもっともっとやっていけたら面白いのかな、と。
確かに、家庭環境などを理由に、振袖を着ることができない子はいますね。そういう子たちが振袖を着る機会を作れるといいですよね!
―本当はね。親も巻き込んでできたらっていうのはちらっと思ったりしますね。10代くらいの子達のお母さん世代も着物を持っていないと思うんですよね。だから、お母さんにも着物を知って、伝えられるようになってほしいなって思いもありますね。
お母さんと一緒っていうのは我々にはない視点でした!
着物部に来ている若者が楽しそうなのって、自分のことに手をかけてくれる人がいて「可愛いね」「素敵だね」と言い合える空間があるからだと思っています。親子で参加して、そういう時間を共有できるっていうのは、素敵ですね。
―夢は広がりますねぇ。