行くよ、未来

こども若者事業部

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こども事業課

すべての子どもを見逃さない

INTERLOCUTOR

  • 部長 Igarashi Kenji
  • 課長 Kato Takashi
  • 主任指導員 Watanabe Sachi
  • 主任指導員 Tomizawa Kazuyasu

進行 係長 Matsumoto Hiromi

担当しているからこそ分かる、こども事業課のこと。
部門長と若手職員、それぞれの思いを語り合ってもらいました。

課題を見つけ、
素早く支援へ

こども事業課は発足から3年となります。どのような課なのかお話しいただけますか。

五十嵐 過去にも同じ名前の課はあり、何度かリニューアルしていますが、目的はそのつど異なります。今のこども事業課は、子どもや家庭、若者世代が抱えるさまざまな課題を早期に発見し、必要な支援につなげることを主な業務としています。課の中にはいろいろなセクションがありますが、何でも挑戦できる課です。

コーディネート事業やまなびのサポート事業の委託を受けていますが、そこから進展して何か別のものが生まれたらいいなという期待も持っています。

加藤 確かに、最初からあまり「机の上」に仕事がないセクションかもしれませんね。もちろんやるべき大事なミッションはありますが、ほかにやりたいことがあったらどんどん自分で仕事を作れるし、それが許されているところ。

特に課を1つ預かる者としては、そういうことを意識しながら、社会や地域の課題に対してそのつど何をすべきか、何ができるのかを考えて精力的に仕事をしたいと思っています。

子どもに携わる
人同士をつなぐ

何代かリニューアルをしているということですが、現在の代の課ができたのはなぜでしょうか?

加藤 子どもを取り巻く環境が変化する中、事業の幅が広がって、どこかのセクションに当てはめると動きが鈍ってしまうというのはあったと思います。コーディネート事業やまなべぇも、外部団体や法人内他セクションと柔軟に連携を図ることが重要になってきます。

五十嵐 我々が中心になって業務をやっていた頃は、子どもたちが中学校を卒業した後も何とかしてあげたいと思っても、個人情報の問題もあって難しいし、半分はあきらめてたよね。新生児童会館の近くで施設を借りてOBの子たちと集まるという事業展開は、事業課になったからこそできているのかも。そしてきっと、まだまだいろんな可能性があると思う。

こども事業課の役割はどんなことであるとお考えですか?

五十嵐 「つながり、つなぐ」が我々の仕事だよね。これはどこのセクションでも共通する話。私は児童会館や劇場、青少年センターでいろんな人をつないできましたが、今は立場的に職員同士をつなぐ仕事しています。

現在87のまちづくりセンターの地域に中学校が99、小学校が200ありますが、その地域ごとで皆さんがつながれるような支援をしていく。そのために我々はいろんなことを感じ取らなきゃいけない。これからは頭の柔らかいチームの人から見て、思うところがあったらどんどん声に出して深く掘り下げていってほしいですね。冷めちゃうと忘れちゃうから、温かいうちにそれを重ねていってほしい。

冨澤さんや渡邊さんは、主任指導員として未来を担っていくにあたって、何か具体的なイメージを持っていますか?

冨澤 仕事をする上で短期的な目標はもちろん立てていきます。その先、例えば10年先20年先、私や渡邊さんみたいな年代が上の立場になったとき、軸として続けていく部分と、時代の流れに沿って変えていかなければいけない部分はあるのかなと思います。具体性はというと……渡邊さんは今持てていますか?

渡邊 さまざまな社会情勢やその時の流行などがある中、40年間培ってきて「やっぱりこれは大事だよね」と言われた活動協会の価値を、「札幌モデル」としてもっときちんと目で見て分かるように伝えていきたいですね。そして協会が中心になって、子どもや若者、市民と関わる人、いろんな活動の時に集まれる仲間を増やしていく。その中から仲間も人材も作っていけたらと今は思っています。

若い世代が考える、
課のこれから

主任指導員のお二人にお聞きしますが、今後こども事業課としてどのようなことをやっていく必要性があると思いますか?

加藤 それは聞いてみたいね。今うちの課は、事業を主にしているチームと、管理を主にしているチームがあって、管理の方は誰かに直接「ありがとう」って言われたりすることがないでしょ? 冨澤君はその辺のやりがいとかどう思ってる?

冨澤 私の場合、児童会館の現場で子どもたちと直接接したり、お母さんたちに「ありがとう」と言われていたところから、急に契約や執行というバックオフィス機能を担う仕事になりましたからね。もちろんそれも含めて活動協会の仕事だし、巡り巡って市民や子どもたちのためになるとは分かっていますけど、もう少し直接的な手応えはほしいです。

五十嵐 冨澤君は今、ファシリティマネージャーの勉強をやってくれているけど、仕事って財務関連を知らないと需要も供給も分からないんだよね。で、ずっと同じ仕事をするわけではないので、今は逆に勉強させてもらっているんだと自分の中で納得できたら、たぶん見方もちょっと変わるかも。

冨澤 もちろん、ここで学んだことは絶対今後に生きていくとは思っています。言葉ではこれは現場のためになってるんだよって後輩や部下たちに伝えても、それを還元していくのは難しいですね。

加藤 基本的には我々は施設を持ってない。だからこそそういう意識や、自分が今ここでやっていることがどういうことにつながるのか、冨澤君が伝えていかないとね。

冨澤 見通しを持った戦略で、今現場や会館に必要なものをピンポイントで導入していくことにつながるのかな。今できることもあれば、指定管理の切れ目でしかできないこともある。現場目線と言いながらも、本当に現場の立場に立ってできているのかな、と疑問に思う時もあります。

五十嵐 現場の職員に近くないと、何が困っているのか分からない。実際に行って話を聞かないと。机上で考えても迷子になる。そこを見極めるのが事業課の役割だね。

渡邊さんは現場から事業課へ異動して1年が経過し、何か思うことはありますか?

渡邊 基本的にこども事業課は、いろんな人や場をつないだり、試行錯誤して次の世代に伝えるような情報をどんどん蓄積していくところだと感じました。

本当は管理部門と連携して、事業の中での管理の契約をしたり、いろいろなシステムを入れてもらったり、そこで私たちがプログラムを展開するといったスケールの事業をできると思うんですよね。そういう視点で考えることができないと、大きな事業を組み立てられないので、管理の方も勉強したいと思っています。その事業が継続できて、別な形で効果が残るようにちゃんと整えることが絶対必要なんだと、ここにきて痛感しています。

五十嵐 活動協会が40年間走ってきた中でいろいろなものが次々と加わっていったけど、全ての子どもたちに対して何が足りないのかをずっと分析できないまま拡大している。でも事業課ならその分析ができるんだよね。加藤さんを中心に、森も木も見られる環境を作れるか、だと思う。

加藤 そうですね。特に児童会館部門はどんどん大きくなっています。2万人のお子さんをお預かりしている中で、児童クラブを利用している子どもを取り巻く環境はどうなのか、エビデンスを用いて振り返ったことがあまりないような気がします。今までは肌感覚だけでやってきたけど、エビデンスづくりは大事だし、現場から一歩引いている我々がやるべきことは多い。

五十嵐 エビデンスに関しては実績がたくさんあるから、うちの財産としてまとめて何冊か本が書けるかなと思います。うちにこれまでの文献がないからその辺は必要かも。

課を超えた自主性を
育んでいく

課内や他の課とうまく連携するために考えていることはありますか?

渡邊 五十嵐部長が言ったように、ここぞという時に4課を「つなぐ」ような場とか仕組みを作れないだろうかと思っています。大きくなったからこそ、そういう場がなかなか持てず身動きが取りづらくなっているので、別な視点でそれができないか、とここに来てすごく考えています。

加藤 うちの根底としてそこは重要。ほかのセクションとの連携という意味ではもちろん、業務で新しいものを生み出しボトムアップすることも含めて、何かやれたら楽しいし必要だな、と。ただ研修で同期が集まるだけじゃなくてね。

渡邊 上から言われてやるのではなく自主的に、という雰囲気が課を超えて生まれるといいですね。できれば、まずはこども事業課で実現したいです。それと、一人ひとりの意見が反映されたり課を超えて携わる仕組みって、やがては子どもや若者に還元されると思うんですよね。そういう場を作りたい。そのためにいろんなことを立ち上げて環境を作り、地域のネットワークづくりをコーディネートできる人がいたらいいなと思います。

また、こんな事業をしたいとなったときに、声をかけるべき団体や人などのつながりが目に見える形で分かるものはほしいですね。そういうものが、将来いろんな事業や事を起こすときに役立つんじゃないでしょうか。

五十嵐 以前、加藤さんとも話したんだけど、ノウハウがないところに対してうちが支援をしていく。ずっとではなく、その人たちが自分たちでできるようになったら、うちはすーっと消えていく感じ。市内87のまちづくりセンター地区でそれが進めば、子どものことを本気で考えてくれて、それを生きがいにしてくれる高齢者がもっと増えるんじゃないかな。その動きが社会全体に広がっていけばおもしろいと思います。

渡邊 種を蒔いて水や肥料をあげるようなイメージかな。私たちが行って活動を見てもらうことで、共感や興味・関心を抱く人がどんどん出てくれば、人材も増えていきますよね。

加藤 子どもたちが置かれる環境において家庭も学校も居場所として機能しないとき、第3の居場所の存在が重要になってきます。児童会館もその1つ。

でも「すべての子どものために」という我々の事業目標から言えば、来館者主義は一番良くない。何らかの理由があって来館していない子どももいますからね。そういう子どものために、ほかにも居場所や機会はたくさん作っておかないと。だからいろいろな団体の取り組みや機能を我々がうまくつなぎ、一人ひとりに合った居場所を提示してあげることがすごく大事なんだと思います。

五十嵐 そこじゃ楽しめない人には、地域でやっているサロンを紹介したり。知っている情報は出し惜しみしない、と。

加藤 これまでの実績や信頼でやっぱり活動協会さんがいいですね、と言ってもらえることと同じくらい、公益の法人だけど子どものために個別に小さく動けることも大事。展開する事業について議論して、少数への支援だろうとこれはうちでやるべきだと思ったら実行する。それができる部署だと思っています。

今回の座談会をとおしてご自身の中で改めて思うところはありますか?

冨澤 まずは管理ないしこども事業課内で連携するなどして足下を固めた上で、他のセクションや札幌市、あるいは他の自治体とやっていけたらいいですね。管理だけに没頭していると見通せない部分が出てくるので、私自身、視野を広く持たなきゃいけないなと感じました。

渡邊 部長や課長、冨澤さんの話を聞いて、考え方や視点など自分の中の物差しが変わりました。せっかく今回こうやって話をする機会をいただいたので、事業課にいるほかの人にも伝えて、1つでもみんなが悩んでいることに対しての参考になればと思います。

五十嵐 ここ何年か言い続けてるけど、やっぱり察する力が大切だよね。ちょっとした異変も絶対見逃さないこと。昨日気付いてあげれば、やっておけばと悔やむ事例が本当にあるから。そんなときに必要な部署や人を素早くつなげ、適切な対処をすぐ取れるよう、知識をたくさん蓄えなければならないんです。「信頼される専門家集団」になるため、これからもっと力を入れていければいいな、と思います。

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